25.8.06

大学院準備コース 2

7月17日に始まった大学院準備コースもそろそろ佳境に入ってきました。後2週間で終了します。これまでの内容を簡単にまとめておきます。

本コースは留学生を対象として大学院準備コースで、アカデミックライティング、プレゼンテーション、大量のリーディングをこなす方法などを訓練します。授業は月水金は午前中、火木は午後まであります。午後のクラスは基本的に大学の教授を招いて実際の講義を聴いたり、同じような専攻の人で集まり、研究発表会に近いものをしたりします。

授業の時間配分としてはライティングとプレゼンテーションに重点が置かれています。私は研究者という職業柄、論文執筆や国際会議の発表を仕事としていたので、それほど苦労はしませんでしたが、経験のない人たちは相当に苦労していたようです。特にライティングには苦労していたようです。欧米のライティングでは、グラマーや単語など表面的なものよりも、文章構成やロジックなどが重要視されます(ただし、実際にはロジックはかなりあいまいだったりします。論理的に見せかけるというのが正しいかも)。日本やアジアの学校では、こうした部分をちゃんと教育していないように思いますが、これからは是非取り入れるべきだと思います。欧米勢が国際会議や標準化、ビジネスの交渉の場で強いのも英語の力だけではなく、こうした論理的思考の訓練によるものも大きいと思います。

授業の負荷ですが、予想より多いといったところでしょうか。これまでの課題は、小論文500ワード、700ワード、2000ワードがそれぞれ一本づつ、プレゼンテーションが3回、その他日々の課題が少々といった感じです。ライティングやプレゼンテーションそのものの執筆よりも調査など前準備の方に時間を使います。小論文の最初の2本は、与えられたテーマについて、各人の視点から調査しまとめるといったものです。例えば、「肥満の原因と影響について」というテーマが与えられ、各人、その原因と影響を調査しまとめます。私は、米国において低所得層に肥満が多いという調査結果を元に、その原因・影響分析を行いました。最後の1本は、自由テーマですが、大学院の専攻コースに関連したテーマを選ぶ必要があります。私は、「Googleの成功要因の分析とその影響」というテーマで執筆しました。Googleが成功した要因を技術的な観点とビジネスモデルの観点の二つから分析し、さらに成功によってもたらされる影響のプラス面、マイナス面のそれぞれについて考察しました。また、プレゼンテーションも大学院の専攻に近いテーマを選び毎回10分で発表し、5分の質疑応答を行います。私は、「無線ICタグの利点と課題」、「日英携帯電話産業の比較」、「Googleの成功要因分析」を行いました。

最後に、本コースが本当に役に立ったかどうか?ですが、かなり役立ったと思います。まず、ライティングに関して、これまで使い方に迷いがあった助動詞(would, might, may, could, shouldなど)と、時制(過去、現在完了)とに迷いが少なくなった(まだある)ことが最大の成果でしょうか。実は、この辺りの使い方に関して、日本の英語教育はまったくポイントをはずして教えてますので注意が必要です。couldがcanの過去形、wouldがwillの過去形、現在完了は、...と教わる日本の英語教育(もちろん間違ってはいませんが)では、おそらく、英語の書籍を正しく読めないでしょうし、ましてや書くことはもっと難しいと思われます。これまでの自分の英語の論文などを読み返してみると、現在形やwillやcanが多く、かなり表現の幅が狭いことに愕然とします(と偉そうにいってもまだまだなレベルですが)。

二つ目の成果は、(日本英語教育をコケおろしたすぐ後ですが)日本人の英語の実力は相当に高いということを実感できたことでしょうか。(サンプルが少ないので少々乱暴かもしれませんが)中国、中東、ヨーロッパの学生を見ていると、確かに彼らは日本人より英語を上手に話せます。しかし、リーディングや文法、語彙力、ライティングなどは、日本人の方がかなり優れているように思います。彼らはたまにとんでもない初歩的な文法の間違いをしますし、文章構成もかなり幼稚です。しかも、実は一見流暢に聞こえる彼らのスピーキングもよく聞くと、かなりむちゃくちゃな英語を並べまくっていることに気付きます。日本人は英語が下手という俗説は、日本人が間違いを気にしすぎてあまり話さないということが原因でしょう。彼らは間違いなど気にせず、どんどん話します。といっても、話さなくても分かってくれるというのは、日本だけしか通用しないのも事実ですし、間違っても伝わるように言い方を変えて補いながら話すという彼らのやり方の方が明らかに国際的です。日本人も、このあたりのいい加減さを見習い、慣れてくるにしたがって、高い基礎力と結びつき英語も相当に上達すると思います。

もう一つの成果は、いろんな友達が出来たことでしょうか。中国、台湾、韓国、タイ、フランス、アラブ、イギリスと多くの国の人と知り合うことができました。皆、とてもいい人たちで、皆すごく打ち解けてます。最近では、私も、少し慣れすぎてしまって、つい日本語で話しかけてしまうこともあるぐらいです。もちろん、日中韓や台中など国家間のギクシャクや、タイなど売春ツアーであまり日本人の評判がよくないことなど、まったくなくはないでしょうが、そうした複雑な感情も抱きつつも、基本的には個人としての付き合いを尊重しうまくやっているというのが事実でしょう。話は変わりますが、中国やタイ、アラブなどから来ている学生は、結構お金持ちの子が多いように感じます。家を2件、車も5台もっていて、家政婦が何人かいるといった話もよく聞きます。私と同じ年で、企業派遣で来ている日本人の友人とよく「実は、俺らが一番貧乏かも?」話してます。

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ハイドパーク&自然史博物館

授業が午前中で終わったので、午後から家族とロンドン中心部にあるハイドパークに行ってきました。久しぶりに天気もよくとても気持ちのいい公園日和でした。ハイドパークはロンドンの真ん中にあるとは思えないほと広く緑の多い公園です。その広さは日比谷公園の約10倍もあるようです。こういう公園がロンドンにはたくさんあり、いい憩いの場所になってます。また池もあり、舟遊びなどもできます。
つづいて、本当の目的地である自然史博物館に行きました。ここの目玉はなんといっても恐竜の化石です。ここも大英博物館と同様、無料で入館できます。博物館は元教会なのでしょうか、とても荘厳な感じのする建物です。中に入ると早速、26メートルのディプロドクスの化石が出迎えてくれます。そして、恐竜コーナーには、ところ狭しとさまざまな恐竜の化石や模型が展示されています。ニューヨークで見た自然史博物館よりも展示数が多いように思いました。恐竜以外にも、シロナガスクジラ(blue whale)の実物大模型、昆虫コーナ、人体コーナなど一日では回れないぐらいの展示があります。

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